動作学とは “人の身体を、部分の総和としてではなく一つのシステムとして捉え、外部環境との絶え間無い相互作用の中で、動的な平衡状態を維持し、外部環境に適応していく有機体として研究する学問”

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現在の医療は大きくまとめると、標準医療と呼ばれる要素還元的なミクロの視点を基盤として発展をしてきた西洋医学と、補完代替医療と呼ばれる全体論的なマクロの視点を基盤に発展をして来た伝統医学によって構成をされています。西洋医学は科学をベースに様々な研究と臨床データにより素晴らしい発展を遂げ多くの人々を救って来ました。 同時に伝統医学も人間の長年の経験と叡智の集合体として多くの人々の幸せに貢献をして来たのは間違いありません。

しかし、長年にわたりこの2つの分野はなかなか相入れることがありませんでした。西洋医学の世界の中には伝統医学を科学的根拠がない迷信だとして否定的に捉える風潮が強く、また伝統医学の方でも西洋医学に対し薬はダメだ手術はダメだと過剰に敵視をしてしまい何が正確な情報なのかがわからなくなってしまっていることが数多く見受けられます。どちらもがそれぞれの分野を否定し合い、“あっちが間違っていてこっちが正しい”と主張をし合っているのが現在の医療なのです。

これからの新しい時代では、要素還元的なミクロの視点と全体論的なマクロの視点のどちらが優れているのかという論争は全く意味をなさないものとなります。そのどちらもが等しく重要で今後の医学、医療の発展のために欠かすことのできない両輪として存在する必要があるのです。どちらが優れている論争の時代から、ミクロとマクロの両方の視点から人体を捉え、その両方を基盤とした医学と医療が形作る全く新しい時代を迎えるのです。

この新しい時代を迎えるにあたり、大きな空白である全体論というマクロの視点で人体を理解するための基礎学問を発展させる必要があるのです。

実は、ヒトをマクロな大きな一つのシステムとして捉えた学問はすでに多く存在をしています。脳神経学、生態心理学、身体運動科学など様々な研究が行われており、ヒトというシステムの理解が進んでいます。しかし残念ながらそれらの知識が実際の医療の現場にしっかりと伝わっていないのが現状なのです。脳神経学や疼痛学などのような非常に重要で大変有用な知識でさえ、まだまだ医療現場に広まっているとは言い難いのが現状なのです。人類は知識としてすでに多くのことを手に入れているのですが、なぜか我々をその恩恵を受けられていないのです。

新しい医学・医療の時代を迎えるにあたり、医療に携わる全ての人間は「ヒトが一つのシステムとして環境と相互作用をしながら存在する」という基本的な概念を学ぶことが必要なのです。動作学はその基本的な概念を研究するための学問であり、その基礎学問の上に臨床学問として脳神経学や疼痛学が存在することにより、それらの知識がより多くの人々に届けられることができるのです。

動的平衡、知覚行為循環、適応という3つの基本概念を中心にした動作学により、人の身体を環境内に存在する一つのシステムとして理解することが、多くの研究と臨床の架け橋となるのです。